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「寝る子は育つ」について

 眠ることは体や脳を休ませるためということはご存知だと思いますが、実はそれ以外にも大切な役割があります。

 代表的なものとしては記憶を定着させることです。勉強したことも自転車の練習をした時の筋肉の動きも起きていると上手に記憶することができません。眠っている間に必要な部分を整理して、記憶の棚に並べています。また、成長を促したり、体の修復を行ったりする成長ホルモンをしっかり分泌させるためにも十分な睡眠が必要です。

 睡眠不足の子どもはどんな様子ですか?頭がぼんやりし、注意力も散漫になり、ミスも多く、不機嫌になり、何かを覚えようとしてもスムーズに覚えられません。心と体は寝ている間に作られているのです。

 体内時計の重要なホルモンにメラトニンというものがあります。これは夜(詳しくは朝の光を浴びた14~16時間後)に分泌され、寝つきを良くし深い睡眠を導いてくれます。しかし、蛍光灯やパソコンなどの光を浴びるとメラトニンは消えてしまいます。消えると眠くなくなり目が冴えてリズムが崩れます。最近問題となっているのはスマホやゲームの光です。

 子どもにとってスマホは、いつでもどこでも遊ぶことのできる魔法の道具です。子どもは夢中になり自ら手放すことができません。大人がスマホを管理し、眠る前の使用をやめましょう。部屋の照明を暗めにし、本を読んだりおしゃべりしたり、一緒に穏やかに過ごしましょう。また、夜間のコンビニも強い光を発しています。夜の利用は避けましょう。

 メラトニンは朝食で摂ったタンパク質を材料に作られます。朝食は脳や体のエネルギーになるだけでなく、夜の眠りにも影響します。バランスの取れた朝食を同じ時間に摂ることを心がけましょう。

 最後に、睡眠時間は何時間必要だと思いますか?小学生なら約10時間必要とされています。子どもは自然にリズムを作れません。大人が「寝る時間だよ。」と声をかけてあげましょう。

執筆:医療法人社団仁和会竹内病院内科

日本睡眠学会専門医 矢野美由紀 氏

  • コラム|2021.02.11