子どもの歯と健康
赤ちゃんは、生後5、6か月ぐらいから新しい歯が生えてきます。「歯みがきはいつ頃から始めればいいですか?」とよく聞かれますが、歯みがきは歯が生えてきたら始めましょう!しかしそうはいってもすぐに上手に磨かせてくれるわけではありませんから、まずはごろんと仰向けに寝かせて、口にものをいれることに慣れさせます。それから小さな歯ブラシを使って優しくみがいてあげます。生え立ての歯はちょうどタケノコのようにまだ未完成で表面が柔らかく、2年ほど経つと硬くなるのです。0歳、1歳は歯の本数もそろっておらず、歯みがきは決して時間のかかることではないのですが、ちょっとしたコツがいります。ぜひ小児歯科でプロから歯のみがき方などを一度習ってみてください。親が行う寝かせみがきは「あなたのことを大切にしていますよ」というメッセージにもなります。子どもが泣き暴れてもぜひ笑顔で褒めながらお願いします。後で絶対に感謝されます!
それでも残念ながらむし歯ができてしまったら、すぐに治療した方がいいのか?痛みがでないうちに治してあげたいという親御さんのご心配はもちろんわかりますが、2〜3歳では治療は難しいことがほとんどです。きちんと治療するには、麻酔をして少なくとも10分程度は口を開けたままじっとしていなければならないからです。この年齢では日常生活でも10分じっとしていることは難しいですよね?そもそも「むし歯を治す」という言い方をしますが、むし歯は治りません。むし歯の治療とは、むし歯の部分を取り除いて詰め物をしているだけなのです。また、痛みもない子どもの治療を無理して(例えば動かないように押さえつけて)行うと、子どもにとってはストレスばかりが残ります。むし歯はあくまで結果であって、解決すべきはそうなってしまった原因なのです。原因は食習慣なのか歯みがきなのか、子どもの健やかな育ちのためにできることを一緒に考えましょう。
執筆:矯正・小児ひまわり歯科 院長 柿崎 陽介氏
- コラム|2021.03.05